自宅に帰ってきて、久しぶりに自分の部屋に足を踏み入れた。
見た目は何も変わっていないはずなのに、まるで違う場所に入り込んできたしまったかのような違和感を覚える。

病院に持ち出しされていた荷物を片付けてから、学校に行くときに必要なものを探した。
学校の鞄や教科書、帝光の制服を見付ける。
それを見ると、改めて重い現実を目前に突きつけられるような気がした。
本当にまたやっていけるだろうか、決意が揺らいでしまいそうになる。


そのとき、赤司先輩と黒子先輩と最後に話したときのことを思い出した。
退院するときはメールを送ろうと思っていたから、今のうちに送っておいた方がいいだろう。
あまり長い期間、学校を休んでしまうと今度は授業についていけなくなって、補修や追試という面倒事が増えてしまいかねない。
ただでさえ入院していて授業に出られていない分、ブランクがあるのだ。
退院の翌日から学校に戻ることは以前から決めていただけに、不安が募る。


退院したから明日から学校に行く予定だという内容をメールに打ち込んでいくけれど、次は文面で悩んでしまった。
赤司先輩にメールを送ると思うと、なぜか出来上がったつもりの文面を何度も確認してしまう。
黒子先輩にはすぐに送れたけれど、赤司先輩にはなかなか送れなかった。
悩んでいるうちに、先にメールを送った黒子先輩から返信が来てしまう。



「あ…黒子先輩、返信早いな…」



時計を確認すると、学校ではちょうど昼休みの時間だった。
どうやら、黒子先輩は図書館で本を読んでいたらしい。
普段の黒子先輩らしくメールの文面も単調なもので、明日は学校で会えるのを楽しみにしています、とまで書いてくれていた。

黒子先輩の返信にほっとして、そのまま携帯を閉じそうになるけれど、すぐに赤司先輩にメールを送っていないことを思い出す。
黒子先輩にメールを送っておきながら赤司先輩には送らなかった、なんて本人に知られたときを想像すると恐ろしい。
すぐにメールを作って、文面を何度か確認してから送信ボタンを押した。
















×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -