赤司先輩からの意外な発言に動揺してしまったけれど、黒子先輩のおかげで理解できた。
私の話というのはそのことだったのだろうか。
予想していたような悪いことではなかったにしても、こういう話をされているというのはなんだか気恥ずかしい。
気のせいか、赤司先輩からの視線を感じる。
「間宮さん…昼休みが終わってから考えてたんですが、赤司くんに勉強を見てもらうのはどうでしょうか」
「え…赤司先輩に…!?」
「…余計なお世話かもしれないんですが、さっき僕から話してみたんです」
「そんなことないです、けど…私はよくても、赤司先輩が迷惑なんじゃ…」
赤司先輩から勉強を教わるなんて、また迷惑を重ねてしまう。
ただでさえ、バスケ部のことであちらこちらを動き回り、忙しそうにしている赤司先輩だ。
今もそうだというのに、これ以上、自分のことで赤司先輩に余計な手間をかけさせることには心苦しさを感じる。
かといって、黒子先輩の気持ちを考えると、きっぱりと断ることができない。
おずおずと赤司先輩の顔色を窺うように目を向ける。
「ずっと付きっきりで見るというのは難しいかもしれないが、僕は構わないよ」
純奈の不安を一蹴して、赤司は静かに口を開いた。
それでも未だに好意を素直に受け取れないで躊躇っている純奈を見て、黒子が最後のひと押しに出る。
「赤司くんは成績も申し分ないので、きっと分からないところはなんでも教えてもらえますよ」
「え!?赤司先輩、やっぱり頭よかったんですね…」
「最初は僕が教えられたらと思ったんですが…そういうことなら、赤司くんの方が適任だと思ったので」
「…そうですか…?」
「…何か不満でもあるのか?」
「あ、ありません…それじゃ…あの、お願いします」
結局、頼んでしまった。
これでよかったのだろうかと今更ながらに考えてしまう。
ただ、何気なく話した自分の学力試験のことを黒子先輩がこんなに親身になって考えてくれていたとは思わなかった。
そして、赤司先輩が話を聞いて、勉強に付き合ってくれるとは思わなかった。
二人の気持ちを考えると、親切心を無碍にしてはいけないという思いに駆られる。
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