部室の中で待っていると思っていたけれど、赤司先輩と黒子先輩は部室の前で立ち話をしていた。
二人が話しているところをあまり見たことがなかったため、つい食い入るように見つめてしまう。
きっと今は、特に黒子先輩が私のことを気にして、赤司先輩に色々と話をしてくれているのだろう。
黒子先輩が私に謝ってくれたあの日から、何かと私のことを気にかけてくれていたのは分かっていた。
先輩たちがみんなで私のお見舞いに来てくれた日も、メールをくれたときも、今日だって。
純奈がやってきたことに気付いて、黒子が顔を向ける。
そのとき、自然と視線が重なり、純奈は小走りで二人に駆け寄った。
「純奈も来たことだし、帰ろうか」
「そうですね」
「は、はい」
まだ退院したばかりだから体調を気にして、わざわざ誘ってくれたのかな。
そんなことを思いながら二人の顔を盗み見た。
三人で校門を出ていく。
やはり、今の自分が一人で部活後の仕事を片付けるとなると、明るいうちにはとても帰れそうにない。
先輩たちの顔もはっきりと見えない薄暗い中、黒子先輩の声が飛んできた。
「部活中は間宮さんを見かける機会が増えるかと思ったんですが、そうでもないんですね」
「そう、ですね…今日はミーティングに間に合わなかったんです」
「そうだったんですか」
「はい…赤司先輩とは、少しだけ話したんですけど…」
黒子先輩との会話の内容がなかなか頭に入ってこない。
私のことを話していた、なんて聞いてしまったからだろうか。
集中して話をしていないことに気付いたのか、赤司先輩が間に入ってきた。
「黒子、純奈は別のことが気になって話に集中できていないみたいだ」
「あ…ええと、先にそっちの話をした方がいいでしょうか」
「ああ。純奈、学力試験のことを気にしているらしいね」
「え…ど、どうして赤司先輩がそんなこと知ってるんですか?」
「…すみません。さっき僕から話したんです」
「黒子先輩が…?」
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