「あ、ちょっと待ってください」

「そんなに急がなくてもいいだろう」

「あ、あの、でも…何か話してたんじゃないですか…?」

「ああ、純奈のことを少しね」

「わ、私のこと…!?」



赤司先輩の発言に目を見開く。
自分が話題になるなんて、ろくでもないことしか思いつかなかった。
しかし、この二人に限ってそんな酷い話をするなんてありえない。
考えずとも分かっているはずなのに、条件反射のように抵抗の色が自分でも分かるほどに表面に出てしまっている。

あからさまに動揺している純奈を見かねたのか、黒子が諭すように間に入った。



「別に大したことじゃありません…でも、ちょうどよかったです」

「…え?」

「間宮さん、もう帰れますか?」

「あ…はい、帰れます」

「じゃあ、着替えてからもう一度ここに来てほしいんですが」

「え…」

「待ってるから早く着替えておいで」

「は、はい」



赤司先輩に最後の一言を切り出されて、部室から出ていく。
赤司先輩に言われるとダメだ。
特に威圧的な言い方をしているわけでもないのに、断れない雰囲気がある。
二人が何の話をしようとしているのか、見当もつかないまま、更衣室に走っていった。





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