今の時間は何時だろうか。
洗濯物を片付けるために乾燥室まで来たけれど、ここには時計がないから時間が分からなかった。
きっと部活は終わっていて、外は暗くなっているだろう。
ごうごうと乾燥機の回る音だけが室内に響いていた。
純奈は椅子に座って、いつになったら音が止まってくれるのかと思いながら回っている洗濯物を見つめる。

桃井先輩に無理を言って、部活後の洗濯は一人でさせてもらっていた。
入院している間、桃井先輩と美里香の二人だけで全ての仕事をさせてしまっていたから、謝罪の意味も込めて申し出たのだ。
洗濯ならば、練習が終わった後だから、いくら時間をかけたところで誰に迷惑をかけることもない。
時間はかかるけれど、一人でできる仕事だ。

乾燥機が止まってから、純奈は中に入っていたタオルを取り出して、それを畳んで元の置いてあった場所に戻していく。
部員のTシャツも、洗濯物として出している人のものは一緒に洗って、いつも部室に戻していた。
これだけ人数が多いと、Tシャツなどの私物を置きっぱなしにしている人も少なくない。



「…終わった」



あとは部員のTシャツを部室に戻すだけだった。
全員分のものではないけれど、やはり多く感じる。
純奈は乾燥室に忘れ物がないかを確認して、両手でTシャツの山を抱えながら出ていった。

今日は随分遅くなってしまったかもしれない。
退院してから一日目にしてこんなにも遅くなってしまうなんて、お母さんに心配されるだろうか。
片手で持ち直して、部室に入っていくと中には意外な人物がいた。



「間宮さん?」

「え…」

「…どうしてこんな時間まで残ってるんだ」

「あの…洗濯物を戻すために来ただけです…」



遅い時間にも関わらず、中には赤司先輩と黒子先輩がいた。
どうやら、二人で話をしていたようだ。
二人も私が来たことに目を丸くしている。
ここにいてはいけないのではないか、急にそんな気がしてきて、持っていたTシャツを慌てて定位置に戻した。
すぐさま出ていこうとドアノブに手をかけた瞬間、黒子先輩に呼び止められる。






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