「黄瀬、お前…ちょっと気にしすぎなんじゃねーのか?」

「気にしすぎ…って、何がっスか?」

「あんまり気にしたって仕方ねーよ」

「だ、だから何を気にしてるって言うんスか?」

「何って、あいつらのことだろ」



あいつら、青峰が言った人物が純奈と美里香を指していることは考えるまでもなかった。
確かにそのことを考えていて、図星だったからこそ、何も言い返せなくなる。
紙コップの中の残っているドリンクを飲んで、青峰は話を続けた。



「ま、気にすんのも分かるけどよ」

「青峰っちは気にしてなさそうっスね」

「あー…とりあえず、お前よりは」

「なんスか、それ!」

「だってよ、俺たちがあんまりうるさく言ってもどうしようもねえだろ」

「それはそうっスけど…」



自分がここまで気にかけていることには、それなりに理由がある。
理由といっても、美里香が部内の中で誰よりも自分を頼りにしているような気がしているから、という単純なものだ。
何はともあれ、心を開いてくれることに悪い気はしない。
青峰の言う通り、二人の問題に首を突っ込むつもりは最初からなかったけれど、ただ以前のようになれたらと思っていたところがあった。
途端に黙り込んだ黄瀬を見て、青峰は口を開く。






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