微かな妬みを目に浮かべて皮肉るように話すクラスメイトに、美里香は適当な愛想笑いを返す。

あの場にいるからこそ、避けては通れない苦難が多くあることをよく知りもしないくせに軽口を叩けるものだ。
クラスメイトに対して、これといって嫌だと思うことはないけれど、こんな風に思われていると思うと気になってしまう。

純奈の席を見るけれど、もうそこに純奈の姿はなかった。
終礼と共に教室を出ていってしまったのだろう。
自分の荷物を確認してから立ち上がった。



「それじゃ、部活あるから行くね」

「うん、頑張って!今度、黄瀬先輩の応援に行っちゃおうかな!」

「うん、きっと大丈夫だよ」



笑いかけると、露骨に喜ばれた。
バスケ部のマネージャーの知り合いがいると行きやすいよね、なんてことを残った輪の中で話している。

教室を出てから、全てに飽き飽きするように美里香は小さく溜息を吐いた。





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