「教科書は、休んだときに進んだところを先生に教えてもらってただけで…ここはたまたま通りかかっただけです」

「そうだったんですか。あ、もうすぐ学力試験がありましたね」

「はい…」

「大丈夫そうですか?」

「…ちょっと、自力で頑張らないと危ないかもしれないです」

「間宮さん、青峰くんや黄瀬くんほど危ない成績じゃないですよね」

「…先輩の成績は分からないんですけど…ええと、授業も出てないし…あと、もともとそこまで勉強できないから…」



その言葉に、黒子は考えるように黙り込んだ。
何か気に障ることを言ってしまったのだろうか、純奈の脳裏に不安がよぎる。

青峰先輩と黄瀬先輩は、黒子先輩がこんなことを言うほど危ない成績なのだろうか。
しかし、今は先輩たちの個人の成績をあれこれ考えている場合ではない。
第一に自分のことを考えなければ、試験でとんでもない結果をとって、何より部活動に影響を与えてしまいかねないのだ。

純奈が様子を気にしていると、やがて黒子が口を開いた。



「図書室で勉強すれば、少しは捗るんじゃないでしょうか」

「え?」

「昼休みはたまに図書室に行くんですが、静かでいいですよ」

「…そうですか?」

「はい」



黒子先輩に図書室で勉強することを勧められて、盲点を突かれたような気がした。
図書室なら、私語厳禁という名目の上で、あれこれ嫌な話を耳に入れずに済むかもしれない。
教科書を読んだり問題集を解いたり、私にもできそうな気がする。






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