教室に戻ったところで何もすることがない。
居心地の悪さを感じながら、ただただ暗い時間が過ぎるのを待たなければいけないのだ。
そう思うと、教室に戻ることにも躊躇いが生じてしまい、純奈は人気の少ない校舎の廊下をぼんやりと歩いていた。
以前のように屋上で時間を潰そうかと思ったけれど、行ってもそこでゆっくりするだけの時間はもう残っていない。
人目を気にして、あえて人の少ない場所を選んで、こんな風にうろつくことになるなんて久しぶりに学校にやってきた今になっても信じられなかった。

気を緩めた瞬間、後ろから誰かに肩を叩かれる。
突然のことに勢いよく振り返った。
相当に怯えた顔をしていたのだろう。
振り返ると、黒子先輩が申し訳なさそうにこちらを見ていた。



「黒子先輩…」

「すみません…そんなに驚かれてしまうとは思いませんでした」

「こ、こっちこそごめんなさい…」

「…そこで見かけたので、声をかけようと思ったんです」

「そうだったんですか」

「間宮さんには部活が始まるまで会えないと思ってましたが、会えましたね。今日はついてます」



戸惑っている純奈を安心させるように、黒子はうっすらと笑みを浮かべる。

今日は朝から赤司先輩にも会えた。
そして、昼には黒子先輩に会えるなんて運がいいのかもしれない。
そう思いながら、同意するように黒子先輩に向かって小さく頷いた。



「だけど、こんなところで会うなんて…もしかして図書室に用事でもあったんですか?」

「え…どうしてですか…?」

「ここ、図書室の近くですし…それに教科書も持ってるので」



黒子先輩に言われて、辺りを見回すと確かにここは図書室の近くだった。
しかし、来ようと思って来たわけではないため、首を横に振る。






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