様々な思いを馳せながら歩いていると、どこからか女子のよく通る高い声が聞こえてきた。
はっと顔を上げる。
聞きたくない、そう思ったのも束の間、自分の意識を無視するかのように声は耳元に届いた。



「あれ?あの子、怪我して入院してたバスケ部の子じゃない?」

「え、あのバスケ部のマネージャー?」

「戻ってきたんだ…」



話している人と顔を合わせてしまったら最後だ、危険を感じ取った純奈は慌てて顔を伏せる。
以前のように露骨に酷いことを言われたわけでもないのに、心臓が痛んだ。
その場から逃げるように方向転換して、足早に立ち去る。
あのような声が聞こえてくると考えると、未だに怖くてどうしようもない。


やっぱり、学校に来ると何をしてもダメなような気がする。
本当に悪い意味で有名になってしまった。
私は相手のことを知らなくても、なぜか相手は私のことを知っている。
悪い噂のせいであることは考えなくても分かった。
しかし、それが一人二人ではなく、大人数だからこそどうすればいいのか途方に暮れてしまう。
一体いつになれば、この嫌な空気から解放される日が来るのだろうか。











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テーマ「人外ファンタジー」
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