「珍しいね…久しぶりに純奈の制服姿を見たような気がするよ」

「学校に来るの、久々だから…そうですよね」

「…しかし…純奈はいつもこんなに早くから学校に来ていたのか?」

「ええと、今日は少し早めに来たんです…いつもはもっと遅い時間なんですけど」

「そうだと思った」

「え?」

「いつもこれくらいの時間に来てるが、一度も見かけたことがなかったからな」

「そうですね…」

「偶然にしても、純奈の顔が見られてよかったよ」

「…私も、赤司先輩に会えてよかった」



まだ一日は始まったばかりだというのに、安心のあまり、気が抜けてしまいそうになる。
本当に赤司先輩に会えてよかった。

赤司先輩と二人で学校に行くなんて初めてのことだ。
確かに嬉しいはずなのに、どういうわけか素直に喜びだけを感じることができない。
自分の置かれた境遇がもっといいもので、考えなければいけないことがもう少しなければ、感じ方もまた違っただろう。
しかし、複雑な心境とはいえ嬉しいことに変わりはなくて、何気なく呟いた。



「赤司先輩にも会えるかもしれないし…早起きして、これくらいの時間に来られるように頑張ろうかな…」

「…起きられるのか?」

「頑張れば…」

「起きられるようならおいで」

「は、はい…」



赤司先輩の拒絶を感じさせない態度には、これまで数え切れないほど助けられている。
思えば、最初からそうなのだ。
赤司先輩は何も変わっていない。






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