act.15










黒子先輩が出ていって、それから外に出ていく気も失せてしまいまたベッドに入り込んだ。

ベッドに入ってお母さんが持ってきてくれた荷物の中に入っていた本を読むけれど落ち着かない。
何がなんだか分からないけれどそわそわしてしまう。
そうしているうちに、日が西に傾きかけていることに気付く。
あれから大分時間が過ぎていたようだ。
黒子先輩に言われたことがずっと頭の中で繰り返されていた。


黒子先輩がああ言ってくれて嬉しかった。
でも、心から信じることはまだとてもできそうにない。
いくら前向きに考えようと思っても、黒子先輩の純粋で穏やかな顔を思い出すことができなかった。
信じて裏切られてまた信じてまた裏切られて、そんな繰り返しなんて絶対にしたくない。

そして、美里香だ。
いくらなんでもあのときの行動は異常だ。
でも、美里香が直接私に手を下さずとも思い通りに事を運ばせることなんて自分が思っている以上に容易なことなのだろう。
美里香の行動で黒子先輩がまた可笑しくなってしまうのではないかと思うと悲しくて堪らなくなる。


大きな溜息を吐いた。
いっそのこと本当に死んでしまえばよかったのか、不謹慎ながらに思ってしまう。
けれどそう思った瞬間に昨日の赤司先輩の『縁起でもないことを言うな』と言ってくれたときの顔を思い出した。



「純奈ちゃん、すごい溜息」

「あっ、春日さん…」

「…外、出ないの?まだ足が痛む?」

「いえ、あの…今はそこまで痛くないです…」



回診にやってきていた春日さんの存在をすっかり忘れていた。
相当大きい溜息を吐いたのだろう、春日さんがこちらをしきりに気にしているのが手に取るように分かる。
大丈夫ですから!と必死に明るい口調で返事をすると、ようやく安心してくれたのか口元に小さな微笑みを浮かべてくれた。


…ダメだ、あんまり暗い顔してると春日さんにまで心配かけちゃう…。

そういえば、赤司先輩…来られそうだったら来るって昨日言ってたけど…来てくれるのかな?
黒子先輩が来てくれたこと…話した方がいいかな…。
















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