act.11
何もかもに追い詰められてしまい、このままではそろそろ本格的に可笑しくなってしまう。
こんな思いをしながらこれからも学校生活を送っていくなんて考えたくない。
封鎖されているはずの屋上の扉を開けて外に出ていく。
屋上は一人きりになれる場所を探してようやく見付けた場所だった。
ここは昼休みを過ごすために最適の場所で、いつもここで時間を過ごしている。
「…もう、疲れた…」
独り言は意識せずとも口をついて出てくる。
結局、今日も食べるどころか買うことさえできなかった。
普段はあまりいじらない携帯をポケットから取り出す。
そのメモリには家族と美里香とほんの少しばかりのクラスメイトの名前しか入っていない。
改めて自分には美里香しか友達がいなかったんだな、と思う。
美里香がいなくなったらどうしようなんて今まで考えたこともなかったかもしれない。
これ以上こんなものを眺めていても気分が下がるだけだと静かに携帯を閉じた。
屋上のフェンスの前に体育座りをして、ぼんやりとフェンスの向こう側を見つめる。
何も考えずにいたつもりだったけれどなぜかキセキの先輩たちのことを思い出してしまった。
何を言っても何を話しても、緑間先輩にはありえないだのくだらないだの完全に否定されてしまう。
黄瀬先輩は泣く美里香を慰めることでいっぱいいっぱいのようで私の話を聞くどころか目も向けてくれない。
青峰先輩は幼馴染みの桃井先輩から何かを聞いて信じ込んでいるのかめんどくさそうな顔をしているばかりだ。
紫原先輩はよく分からないけれど、めんどくさいと思っているのがひしひしと伝わってくる。
黒子先輩も明らかに私のことを疑っていて訝しげな目を向けてきて、桃井先輩も…。
説得しても逆効果になるだけだと分かりきっていたから何も言い出せなかった。
それでも、どうしても自分に優しく接してくれていたあのときの先輩たちのことを思い浮かべてしまう。
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