act.10










きっと、大丈夫だと思っていた。

キセキの先輩たちだけでも私のことを信じてくれるなら。

きっと、どれだけ他の人たちに何を言われても何をされても我慢できると思っていた。










「…いってきます」



つくづく朝は嫌いだと思う。
とても好きにはなれそうにない。
こんなもの、来なければいいのに。

純奈はいつものように家族には何も気付かれないようにと平静を装って玄関のドアを開けた。
最近あまり学校の話をしないけれど、どうやら誰も気付いていないようだ。
なんとか家の中では普段の自分でいられていることに安心する。

でも…本当に怖い。

通学路を歩いていれば、あちらこちらから嫌な笑い声が聞こえてくる。
自意識過剰なのかもしれないけれどこれはいつまで経っても変わらない。
とにかく周囲の視線がとても痛かった。
同級生に留まることなく、上級生からも下級生からもひしひしと冷たい視線を感じる。











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