番外編01










帝光バスケ部のマネージャーになってから、少し経った日のこと。
私はまだ美里香が手伝ってくれなければ時間内に自分の分の仕事を片付けられなくて、自分の仕事のできなさを痛感する日々だった。
美里香が手伝ってくれるだけで、随分早く仕事が片付く。
何かと私のことを気にかけてくれていたから、作業中にどうすればいいか迷ったり困っていると、すぐに助けてくれていた。
これまでも思っていたことだったけれど、マネージャーになってから特に美里香のあらゆる面での周到さに驚かされる。

帝光のバスケ部は規模の大きい部だから、私と美里香以外にもマネージャーは複数いた。
しかし、一緒に話していて分かったけれど、どの子も今とても有名な二年生の先輩たちを目当てに入部したようだ。



「せっかくマネージャーになれたのに、全然先輩たちとお近付きになれないじゃん」

「仕事めちゃくちゃきついし」

「先輩たちと仲良くなれると思って入ったのになー」



口々にぼやかれる声の中、隣にいた美里香が誰にも聞こえないくらい小さい声で呟いた。



「…まだちゃんと仕事もできないんだから、先輩たちと話せるわけないのに…」



美里香の部活に対する姿勢は、真面目そのものだった。
それを知っていたからこそ、美里香の本音ともとれる落ち着いた口調に何も言い返すことができなかった。
ぼやいている子たちの気持ちに共感できる部分もあったため、思わず口を閉ざす。
そのうち、先輩たちと話せるかもしれないという期待を全く抱いていないわけではなかった。
でも、美里香の言う通り、今の状況では先輩たちと雑談どころか、声をかけることさえままならないだろう。
十分な人数を充てられながら、最終的には桃井先輩に手伝ってもらわなければ全体のマネージャーの仕事を片付けられないくらいなのだから。











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