act.24










あたしが言い出したはずなのに、いつの間にか赤司先輩の独断で土曜日の部活の後にみんなで純奈のお見舞いに行くことになった。
一体どういうことになるのか今から気になってどうしようもない。
それにしても、赤司先輩はどこまでも我が道を行く人だ…そう思ったけれど、日程なんていつでもよかったから適当に合わせておいた。
だけど、黄瀬先輩が赤司先輩に伝えておいてくれたことには本当に感謝している。
自分でどのように声をかけようか真剣に考えていたから、余計な心配がなくなった。

まさか緑間先輩や紫原先輩まで来てくれるなんて。
キセキの先輩が全員揃って行くことはよほどのことがない限り無理だろうと思っていたから、全員が行ってくれると知ったときは驚いてしまった。


…これでも、入院させるようなことをして少しくらいは悪いと思ってる。
でも、キセキの先輩たちがお見舞いに来てくれるなんて…純奈は本当に幸せ者なのね。


気持ちとは裏腹に美里香の口元には嘲笑が浮かんでいる。

昼休み、廊下を歩いていると前方から緑間先輩がこちらに向かって歩いてくる姿が見えた。
多分、キセキの先輩の中で純奈のお見舞いに行くことに誰より渋っていたのは緑間先輩だろう。
せっかく来てくれるのだから、せめてお礼の言葉くらいかけておいてもいいかもしれないと思いながら緑間先輩に駆け寄っていった。



「緑間先輩!」

「…ああ、見咲か。どうしたのだよ」

「特に用事はないんですけど…あの、ありがとうございました」

「何のことだ?」

「純奈のお見舞い、緑間先輩も一緒に行ってくれるって黄瀬先輩から聞いたから…びっくりしました」



ある意味、試していたのかもしれない。
緑間先輩が純奈に対して、どんな反応をするのか気になったことは本当だ。
純奈のことを自ら話題に出すなんて嫌だったけれど、今はただの好奇心がその嫌悪感に勝っていた。

そこまで言うと、緑間先輩は決まりが悪そうに眼鏡を指先で押し上げる。
複雑そうな表情のまま何かを考えるように眉間にしわを寄せている緑間先輩に物怖じすることなく笑いかけると、やがて重々しい口を開いた。






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