act.18










間宮さんが見咲さんに階段から突き落とされた日、あの階段の傍を歩いていた。

掃除当番の仕事が長引いてしまい、部活が始まってしまうと時間を気にしながら廊下を足早に歩いていく。
ちょうどそのとき、近くで聞き覚えのある声が言い争っていたから、つい気になってしまい声のする方に近付いていった。
部活に遅れると赤司くんに何か言われると分かってはいたけれど、聞き覚えのある声だからか妙に気になったのだ。

しかし、声の先にあった光景を見た瞬間、目を丸くしてしまう。
最初は何が起こっているのか状況を理解できなかった。





『本当…何なの…?あんた…あたしのことイラつかせる天才よ…ふざけないで…』

『や、やめて…』

『どこまであたしに嫌な思いさせれば気が済むのよ!あんたみたいな奴に何回もこんな思いさせられるなんて…』

『来ないで…お願いだから、それ以上…』





言い争っていたのは、間宮さんと見咲さんだった。
驚いたのは別の理由で、二人の距離が近すぎるということだ。
段差のギリギリまで追い詰められている間宮さんに、見たことのないような表情で迫っていく見咲さんの顔が見える。
静まり返った辺りには二人の声だけが響いていた。

でも、それにしても、あのままでは間宮さんが落ちてしまう。


まさか突き落とすつもりでは…そう思ったときにはもう遅かった。


見咲さんの手が間宮さんに伸びていたのだ。
そのときの見咲さんの表情はもう、思い出したくもない。
















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