act.16
「…間宮さんがこんなことになってから気付くなんて、もう本当に言い訳ができないほどバカなことをしました…」
純奈と美里香のこと。
そして、純奈の病室を訪れたこと。
それらを全て話して黒子は地面に向かって力なく呟いた。
その瞳には後悔の色が浮かんでいる。
赤司は何も言葉をかけずに黙ったまま黒子の顔を見て、視線を空に移した。
「どうしてこうなったんだろうな」
「それは…僕にも分かりません」
「…まあいい。黒子、もう分かってるとは思うが…」
「はい。とにかく…間宮さんに伝えたいことは伝えたはずです。これからは、本当にどうにかしてあげたいです」
「…」
黒子は目を伏せたまま、ぎゅっと拳を握り締めて自分自身にも言い聞かせるように声を振り絞った。
これならば大丈夫だろうと判断したのか赤司は肩をすくめる。
「もう純奈を裏切るようなことはするなよ。それが今の僕の頼みだ。今は…黒子にしか頼めそうにない」
「…」
「…なんだ?」
「…赤司くんは、すごいです」
「どういう意味だ?」
「間宮さんのこと…信じてたんですよね」
「…むやみやたらに振り回されるのは好きじゃないからね。口先だけの話じゃなくて、本当のことが知りたいだけだよ」
言い切られてしまって黒子はまたうつむいてしまった。
そんな姿を見て、赤司が思い出したように呟く。
「…そうだ。手土産を持っていこうと思っていたが何を買えばいいか迷ってたんだ」
「手土産?間宮さんに…ですか?」
「ああ。黒子、これから買いにいくからもう少し付き合え」
「え…は、はい」
「女子の好みはよく分からないからな」
そう言って赤司は黒子に微笑みかける。
座っていたベンチから立ち上がり、赤司は先にさっさと歩いていってしまった。
一瞬だけ面食らったような表情をしたけれど黒子もすぐに立ち上がって急いで赤司についていく。
「…赤司くん、お店ならちょっと思いついたところがあるんですけど…」
「…それなら店は黒子に任せるよ」
「はい」
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