今日の部活が終わる。
今日は純奈がいなかったから桃井先輩が手伝ってくれた。
桃井先輩と手分けをして練習後の雑務を片付けて急いで着替える。
赤司先輩はまだ帰っていないはず。
桃井先輩が一緒に帰ろうと誘ってくれたけれど、どうしても赤司先輩と話がしたくて適当に理由をつけて断ってしまった。
探している途中で青峰先輩や紫原先輩は見かけたのに肝心の赤司先輩が見付からない。
まだ分からないことに対して焦りを感じている自分に無性に腹が立つ。
「…もう…赤司先輩どこほっつき歩いてるのよ…」
苛立ちから小さな声で呟いたところで体育館の方からボールの弾む音が聞こえてくる。
もう自主練している部員はいなかったはずなのに…少しの期待を抱きながら美里香が中を覗くと、赤司が黙々とシュート練習をしている姿が見えた。
ようやく見付けた…。
今すぐにでも話しかけたかったけれど赤司の自主練を妨げてこんなことを聞くのはまずいと思い、美里香は一段落つくまでその場で待つ。
そしてタイミングを見計らって体育館に入っていった。
「赤司先輩」
「…美里香、まだ残ってたのか」
「赤司先輩の方こそ、今までずっと自主練してたんですね」
「今日はまだ予定していた個人メニューを全部こなせてないからな」
その言葉を聞いて、美里香は赤司の給水器やタオルの件を思い出した。
あんなことをしていればハードな個人メニューを時間内に終わらせることなんて無理だろう。
美里香は表情を暗くすることなく赤司に近付いていった。
「今日、純奈と何を話したんですか?」
「…どうして?」
「…純奈、最近あたしには何も話してくれないから」
「へえ…本当かい?」
「え…?」
「…つくづく不思議だな」
「…?」
「なんでもないよ。ただ、泣いてたから心配だったね」
美里香は赤司の発言に引っかかるものを感じながらも、純奈と二人で話をしていたことを知って愕然とする。
この様子からでは詳しい話まで聞き出せないのにこれ以上は追求できない空気を感じた。
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