そうなんだ…純奈って、暗そうなんだ…。
それに比べたら、この子たちは明るいし可愛いし話し上手だし、あたしの知らないことをたくさん知っている。
純奈と一緒にいると、あたしまで…暗い子に見えるの…?

ありえない。
あたしは可愛いはずなのに。

可愛いし明るいし優しいし勉強もできるし運動もできるし何させても人並み以上にできるの。

純奈より、このグループの中にいる誰よりも。





乾いた笑い声が出てきた。
こんな簡単なことに気付かないなんてあたしも大分バカになったものだ。


あたしは何気なくその場にいる全員にリップクリームの話をして繁華街にある店までついてきてもらえないか、少し演技をしながら聞いてみた。
思った通り、誰一人として文句を言うことなく頷いてくれる。
それどころか『可愛いー!』や『一人で行くとナンパされちゃうもんね!』なんてわけの分からないことを言う始末だ。さすがに少し笑えてくる。

バカバカしい。でも、面白い。思い通りにいくことにうんざりするなんて、なんて贅沢なことを考えていたのだろうか。

うんざりなんてしないように最初から自分で上手く物事を仕向ければいいだけなのに。
リップクリームを買うとき、みんなはおすすめの化粧品を熱心に教えてくれて、化粧品そのものには興味はなかったけれど精一杯に話す彼女たちがただ面白かった。
みんなで繁華街を歩けばあちらこちらから声をかけてくる男子高校生たち。
明らかにチャラそうで話しかけられた時点で相手にする気はないけれどそのままでも面白くないから怯えたふりをして相手を動揺させたり、とにかく何をしても可笑しくて堪らない。

…本当に、本当にバカバカしい。











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