「ずっと思ってたんだけどさー…なんで美里香って間宮さんといつも一緒にいるの?」

「え?」

「うーん…なんていうのかな…」



ある日の朝、まだ純奈が来ていないとき、話し相手もいないから一人で席に着いているとクラスの中でも派手な女子が集まったグループに声をかけられた。
『なんで一人でいるの?こっちに来て一緒に話そうよ!』なんて声をかけてくれたものだから拒否することもできなくて輪の中に入っていく。
間近で見て改めて思ったけれど、そのグループの女子たちは本当に目立っていた。

着崩した制服に丈を短くしたスカート、耳にはピアスが空いていて、やりすぎだと思うほどの化粧、嗅いだことのない甘い香水の匂い、キラキラしたアクセサリー。
何から何までこれまでの自分とは疎遠のものだった。
それでも可愛い女子が集まっていて、そんな女子たちの中にいることには少し気が引けたけれど純奈といるときとはまた違った気持ちになる。
おまけにグループの女子たちは自分の言動の一つ一つに過剰な反応をしてくれるものだから、なんだか面白かった。

もともと、このグループの女子たちからは事あるごとに何かと声をかけられていた。
『美里香はうちらの学年の中でダントツで可愛い!』とか『あたしたちのお姫様!』なんてバカみたいなことを真顔で言ってくるから、面白いことこの上ない。

でも、それでも居心地に関しては違和感があることは確かだった。
それを上手く誤魔化しながら女子たちと会話をしていたところで純奈の話題が出てきて、何のことなのか見当もつかない。
純奈の話題を切り出した女子はどう言えばいいのか分からない様子で唸りながら真剣に考えていたけれど、やがて諦めるように首を左右に振った。



「あー…なんか言葉が見付からない。忘れて!」

「え!?う、うん…」

「そんなことよりさ、美里香って彼氏とかいるの?」

「それすごく聞きたかったー!帝光に入ってから何人に告白された!?」

「え…何人くらいだったかな…だけど彼氏なんかいないよ、いたこともないし」

「絶対に嘘!それなら彼氏じゃなくてキープの男がたくさんいるんだ!でも美里香なら可愛いから許しちゃう!」

「だからそういうのいないってば…!」



まるで違う世界に自分がいるようだった。
こんな会話、純奈とは一度もしたことがない。
多分これからもすることがないと思う。

あまりしない恋愛話は楽しかったけれど、この輪の中に入っていくだけの勇気はまだ持ち合わせていなかった。
そこまで話したところでようやく純奈が教室に入ってくるのが見えたから、適当に話を切り上げて純奈のところに逃げるように向かっていく。



「おはよう、純奈!」

「おはよう…あっちで何か話してたんじゃないの?大丈夫?」

「あ…ううん、別になんでもないの。大丈夫」

「…そう?」



深く問い詰めてくることもなく、それならいいんだけど…と純奈は笑顔になった。
そんな純奈の顔を見た瞬間、さっきまで感じていた違和感がどこかへ消えていく。
だけど、なぜか分からないけれどさっきまで一緒に話をしていたグループの女子たちの顔を見ることができなかった。
















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