今日のやらなければいけない仕事が終わった。
時間を気にしながらも、残った美里香と二人で体育準備室の最後の点検をする。
そのとき、簡易テーブルの傍にバスケットボールが転がっていることに気付いた。
部活中、体育準備室を出入りしていたときにも何度か見かけていたけれど、誰かがそこに置いていたものだと思って、最後まで放置していたものだ。
それを見て、純奈が美里香に声をかける。
「そこに置いてあったボール、置き忘れみたいだね」
「みんな誰かのだと思って片付けなかったのかも。やっと帰れると思ったのに、倉庫に戻しにいかないと」
「あ…だったら、私が持っていくよ」
「いいの?」
「うん。今日も美里香、手伝ってくれたし…」
「…分かった。じゃあ、更衣室で待ってるからね」
「うん」
頷くと、美里香は先に体育準備室から出ていってしまった。
早く戻してしまおうとボールを拾って、倉庫に直結している第一体育館に向かっていく。
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