「…じゃあ、僕からメールを送っておくよ」
「は、はい」
「僕もあとで送ります」
「お願いします…」
「これで間宮さんが学校に来ても、すぐに連絡がとれそうだから少し安心ですね」
「…赤司先輩、黒子先輩…ありがとうございます」
二人の優しさを痛切に感じてしまうからこそ、裏切るような真似はできない。
学校に行って、部活に出ることによって、そこで初めて二人の優しさに応えられるということは分かっていた。
どうしようもなく辛いけれど、そうでもしないと赤司先輩と黒子先輩との接点が本当になくなってしまう。
それだけはどうしても堪えられない。
赤司先輩と黒子先輩の普段はあまり表に出すことのない優しい一面を知れば知るだけ、いなくなってしまうことに対する恐怖が増していく。
純奈は小さく拳を握り締めて、重々しく呟いた。
「…色々、あったけど…ちゃんと部活には出ます…」
「…間宮さんが退院したら部活に戻ってくることは、赤司くんが言ってましたね」
「え…?」
「…そうだな。何にせよ、僕から辞めさせるつもりはなかった」
「赤司先輩…」
「とにかく…純奈の口から部活に出ると聞けてよかったよ」
「…戻ってきてくれてよかったです」
どうしてこんなに優しくしてくれるのかと疑問を抱いてしまうほどに、二人は自分のことを気遣ってくれている。
今日、大嫌いと言ってしまったときは今度こそおしまいだと思った。
それにも関わらず、赤司先輩と黒子先輩が再び訪れてくれたなんて、今でも本当に信じられない。
二人がどれだけ自分を信じてくれているのか改めて思い知らされたような気がする。
自分のためにも、赤司先輩と黒子先輩のためにも、私はどうしてもバスケ部にいなければいけないのだ。
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