晴れない気持ちのまま、項垂れるように純奈は布団に目を伏せた。
沈んでしまった純奈の表情を見て、黒子が赤司に顔を向ける。
赤司は腕を組んだまま、じっと純奈を見つめて、やがて話を切り出した。



「…純奈が最後に部活に来たときに言ったが…純奈の仕事はたくさんある」

「…え?」

「だから、お前がいなくて大丈夫なんてことはないんだ」

「…」

「…お前を必要としている人間が、僕と黒子だけでは足りないか?」



はっと顔を上げて、純奈は赤司の顔に視線を向ける。
赤司は目を逸らすことなく純奈を見つめている。


じわじわと目頭が熱くなっていくのを感じた。
赤司先輩の言葉に、なんと返事をすればいいのか分からない。
気を抜けば、きっと涙が溢れてきてしまう。
必死に平静を装いながら、静かに口を開いた。



「た、足りなくなんかないです…十分です…」

「間宮さん…よかった」

「…純奈、今回の件はこれでいいな?」



まだまだ解決していないことは多くあった上に、気持ちを完全に割り切れたわけではない。
けれど、赤司先輩に確かめられるように言われてしまい、頷く他になかった。

自分を必要と言ってくれて、部活を続けてみようという失いかけていた気持ちを取り戻せたことは確かなのだ。
赤司先輩と黒子先輩がいなければ、もう絶対に辞めていただろう。

心の中で何度も二人に感謝しながら、純奈はようやく顔を上げた。











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