まさか、赤司くんがこんなことを言い出すとは思わなかった。
もしかすると、赤司くんが言い出してこなければ自分だけでも引き返していたかもしれない。
断る理由なんてなくて、大きく頷く。

少し歩いたところで、気になることを思い出して小さな声で呟いた。



「さっき、諦めろと言われたので…赤司くんは諦めてしまったのかと思って…」

「出直そうと言ったはずだ」

「だとしても、こんなに早く出直すとは思いませんでした」

「…二度手間とは言ったが、今なら話も聞いておけるからな」

「話?」

「さっきあったことだ。僕に話したかったんじゃないのか?」



ついさっきまで話そう話そうと思っていたことも、たった一瞬のうちに消えかかってしまっていることに気付く。
予想外の展開に頭がついていけていないことを実感した。


赤司くんと話していると、自分がまだ話していないことでももう知っているのではないかと思うときがある。
だからこそ期待してしまうのかもしれない。
あるかどうかも分からない希望を信じたくなってしまう。

あんな絶望的な状況に立たされてしまった間宮さんでも、赤司くんならば救い出せそうな気がして。





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