そろそろ声をかけたいと思っていた黒子は、赤司に顔を向ける。
ちょうどそのとき、赤司は紫原に話しかけられているところだった。



「赤ちんはこれからどうすんのー?」

「用事があるから今日はここで帰らせてもらうよ」

「ふーん…」



お菓子を食べ終えた紫原が大した興味もなさそうに呟く。
二人のやりとりを黒子はただじっと見ていた。
同じように見ていた黄瀬と美里香が黒子に声をかける。



「黒子先輩はどうするんですか?」

「途中までは同じ方向っスよね」

「僕は…そこの本屋で何か本を探してから帰ろうと思ってます」

「そっか…それじゃ、今日はここでお別れっスね」

「そうですね…」



些細なものとはいえ、嘘を吐いてしまい心の中で黄瀬くんに謝った。
赤司くんもどうやら用事があるようだから用件は手短に済ませないといけない。





結局、見咲さんと黄瀬くんと紫原くんは途中まで一緒に帰るということになり、その場で別れることになった。
三人を見送ってからようやく赤司くんに目を向ける。
目線が重なった瞬間、可笑しそうに小さく笑われた。



「さっきから僕の方を見すぎだ」

「…やっぱり気付いてましたか」

「ああ。本屋に行くというのも建前だったんだろう」

「すみません…嘘を吐いてしまいました」

「気にするな。ほら、行くぞ」

「え…行くって、どこにですか?」

「病院だ」

「…もしかして、用事って…」

「まあ、二度手間になったことは仕方ないが…今日は純奈に会うために来たんだからな」

「…」

「行くだろう?」





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