「…お前、入院してから本当におかしくなっちまったんじゃねえのか…?」

「さっきから聞いていれば…つくづく失望させられるのだよ。見舞いに来て、どうしてそんなことを言われなければならない」

「純奈ちゃん、どうしちゃったの…?そんなこと言うような子じゃなかったよ…」

「なんでこんなことになっちゃうかな…」



それぞれが口々に呟くけれど、やはり純奈は顔を上げようとはしなかった。



「…帰って…ください…」

「…言われなくても帰るっスよ」



黄瀬は諦めたように純奈から目を逸らして、黙ったまま美里香に手を差し伸べた。
純奈が叫んでから放心していた美里香も黄瀬の手を見て、ようやく我に返る。
そして、何も言わずに黄瀬の手をとって、二人は先に病室から出ていった。

少し遅れてから緑間と青峰も背を向けて病室から出ていく。
その場には黒子と桃井だけが残った。


全員からの厳しい言葉にただ黙ったまま堪える間宮さんを見ていると、辛くてどうしようもない。
何をすれば間宮さんは救われるのか、分かったはずなのにまた分からなくなってしまいそうになった。
しかし、自分もあのことがなければ、みんなのように少しでも間宮さんを危ない人だと思っていたかもしれないのだ。


黒子がいつまでも動かないことを気にしたのか、桃井がおずおずと声をかける。



「テツくん…行こう?」

「…僕は…」

「…?」

「…はい、行きましょう」



僕はもう少しだけ残ります。
そう言いかけたけれど、ここに残ったところで話が拗れるだけだと判断して、桃井さんと出ていくことにした。
あまりにも不自然な状況を自ら作り出してしまうことは避けたい。

でも、最後まで間宮さんのことが気になって仕方なかった。
今はできるだけ傍にいてあげたい。
みんなにあんな酷い形で誤解をされてしまい、間宮さんがなんとも思っていないはずがない。


黒子は肩を落として桃井と一緒に病室を後にした。
















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