赤司くんはああ言ったけれど、やはり待っていた方がいいのではないだろうか。
そうでなければ、自分が受付の手続きをすればよかったのかもしれない。


脳内であらゆる思いとの葛藤を繰り広げながら、黒子は赤司の背中を見つめた。
何も言い出さない黒子のことを気にして、隣にいた青峰が声をかける。



「テツ、どうしたんだよ。行こうぜ」

「まさか本当は知らないなんてことはないだろうな」

「いえ…分かってます」

「黒子先輩、行きましょう」

「うんうん、赤司っちも言ってくれたんだし、先に行っててもいいと思うっス」



確かに、こんな杞憂じみた思いを理由に赤司の発言を無視することはできない。

考えに考え抜いた末、行くしかないという結論に至る。
こうなった以上、行くしかないのだ。
こっちです、と全員に向かって呟いて、黒子を先頭に歩いていった。
動揺を悟られないように何気なく切り出したつもりだけれど、不安は残る。


このことに関しては、赤司くんが立ち会える状況下ならばここまで気を揉まずに済んでいたに違いない。
それとも赤司くんはその場に自分がいなくても大丈夫だという確信でもあるのだろうか。
早く来てくれたらそれが一番いいことだが、どうなるかは本当に分からない。

いつまでも消えない不安を振り切るように、黒子は全員を連れて純奈の病室へと向かっていった。











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