校門前に着いたとき、ちょうど待ち合わせの時間になる頃だった。
もうすでに赤司と紫原を除く他の面々は集まっているようだ。
二人が来たことにいち早く気付いた黄瀬は笑顔を浮かべる。



「あー!赤司っちと紫原っち、ようやく来た!」

「待たせたね」

「ごめ〜ん」

「ムッくん、お菓子そんなに買ったの…!?」

「いいのいいのー」



軽いやりとりを済ませてから全員で学校を出発した。
純奈が入院している病院に向かうためには学校からだと電車の乗り換えが必要で、いつものように駅まで歩いていく。

この中で、黒子は純奈の入院先には一度も行っていないことになっていた。
だからこそ、あたかも初めて行くような様子を装っている。
これはあらかじめ黒子が赤司に口裏を合わせてくれるように頼み込んでのことだった。

黒子は桃井にしっかりと腕にしがみつかれていて、美里香は黄瀬と楽しそうに話しながら一番前を歩いている。

それぞれが談笑している姿を赤司が最後尾から眺めていると、緑間に声をかけられた。



「まったく、これから病院に行くというのに浮かれすぎなのだよ、あいつらは」

「これくらいの方がいいかもしれないだろう」

「…ふん。賑やかすぎて困りものだ」



口ではそう言っているけれど、表情はまんざらでもなさそうだ。
返事をすることなく赤司はふっと口元に笑みを浮かべた。
それを見て、緑間はなんともいえない顔をしてふいと赤司から目を逸らす。


今日を境に、純奈と全員の関係が今以上に大きく変わってしまうなんて、このときは誰も気付かなかった。





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