ふと、あのときのことを思い出してしまった。
純奈に差し入れを持っていく少し前に話した看護師との会話が脳裏をよぎる。


あれから時は瞬く間に過ぎていき、あっという間に予定していた土曜日になった。

部活を終えてから、最後に部室を出ることになった赤司はロッカーから制服のブレザーを取り出して軽く羽織る。
今日の施錠は赤司がすることになっていた。
施錠に使った鍵を管理室に戻しにいく途中、何度か時計を確認する。
まだ集合時間には余裕があったため、とりわけ急ぐこともなく管理室ですることを早々に済ませた。


購買部の付近を通りかかったとき、紫原が大量のお菓子を抱え込んでいる姿が目に映る。
向こうもすぐに赤司の存在に気付いたのか表情を緩めながら近付いてきた。



「赤ちん、みーっけ」

「僕を見付けるのは結構だが、何なんだそれは」

「お見舞いの品?純奈ちんにあげるもの買ってたんだ〜」

「…そうか」



紫原は袋に大量に詰め込まれたお菓子に目を落として、なぜか幸せそうな顔をしている。
お見舞いの品というのも、あれのごく一部のことを言っているのだろう。
病院に到着するまでに一つでも残っているだろうか。
赤司は大して関心のない瞳でそれを見て、さっさと歩いていく。

紫原も何も言わずに赤司の後ろについていき、二人で待ち合わせ場所である校門の前に向かっていった。






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