「純奈ちゃんは…退院、あんまり嬉しくない?」

「…春日さんと仲良くなれたから…少しだけ、寂しいです」

「純奈ちゃんが優しい子だから、こんなに仲良くなれたのよ?もっとキツい性格の患者さんだってたくさんいるんだから」

「そんなこと、ないです…私、いつもみんなのことイライラさせたりするし…何してもそんなにできないし…」

「自分で思ってる悪いところも含めて自分のことを好きになってくれる人、絶対にいるよ」

「…」



春日さんの言っていることは、正直あまり理解できなかった。

この性格のせいで一番の友達だと思っていた美里香でさえあんなことになってしまったのだ。
性格だけのせいではないこともよく分かっていた。
日頃の行動の積み重ねが、たとえよかれと思ってしたことでさえ仇となってしまったと考えると、やるせない気持ちでどうにかなってしまいそうになる。

きっと、無意識のうちに何度も美里香をイライラさせてしまっただろう。
でも、それでも全てを受け入れた上で傍にいてくれたのだと思っていた。
…こうなるまでは、本当に、そう思っていた。


しかし、元気づけてくれているのであろう春日さんの気持ちを考えると、むやみやたらに反論することもできない。
春日さんは私の学校での現状なんて知らないのだ。


現実を思い出すとこんなにも暗い気持ちになってしまうなんて。
おまけに辛いことを鮮明に思い出してしまっているからか、自虐的な言葉が簡単に口をついて出てきてしまう。
それが堪らなく嫌だった。
こんな状態だからこそ、誰とも話したくない。
話さない方がいいのだ。


純奈は徐にベンチから立ち上がり、松葉杖を手に取る。
それから、先に病室に戻ってます、と呟いて院内に戻っていった。
















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