二人で教室に向かっていく途中、美里香は青峰を見上げて呟いた。



「…青峰先輩、ありがとうございます」

「あ?感謝するのは俺の方なんじゃねーのか?」

「そのことじゃなくて…さっき緑間先輩にも言ったんですけど、純奈のお見舞いに青峰先輩も一緒に行ってくれるって聞いたから…」

「ああ、そのことか。さつきから聞いたけど…まあ、な…どうせ暇だし、ついてくだけだ」

「青峰先輩も来てくれるなんて、純奈もきっと喜んでくれます」

「そうかぁ?んー…あんまり喜ぶとは思えねーけどな…」

「…なんでですか?」

「なんとなく」



はっきりと言い切られてしまった。
青峰の鋭さに美里香は息を呑む。
純奈が喜ぶことはないだろうと美里香も確信していたからだった。


桃井先輩に話しておけば自然と青峰先輩にも伝わるだろうと思って、あえて桃井先輩には黄瀬先輩に話した日に同じことを話しておいたのだ。
しかし、青峰先輩も緑間先輩と同様にめんどくさいだの何かと理由をつけて来てくれないと思っていた。
あえて口にはしないけれど、青峰先輩も色んな意味で気にしてはいるのだろう。





なんともいえない気持ちになった。

いっそのこと、キセキの先輩たちが純奈のことを嫌いになってしまえば楽になるのではないかとさえ思ってしまった。
けれど、きっと今の先輩たちは好き嫌いの感情で純奈のことを見ていないのだろう。
それが堪らなくもどかしい。

純奈なんて、話題に出てこなければそれでもう構わないと割り切っていたはずなのに、こんな風に話すとやはり胸につっかえる存在を無視することができない。

二人と話して、ますます純奈にはバスケ部からいなくなってほしいと思った。
純奈がいると、キセキの先輩たちとあたしの理想としている関係を築くことができないのだ。






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