下駄箱で靴を履き替える。
それから黄瀬は校舎を出て、体育館の方に向かった。

その途中で壁に寄りかかって誰かを待っているように時計を気にしている美里香の姿を見付ける。
なんでこんなところに…そんなことを思いながら、黄瀬は美里香に駆け寄っていった。
美里香も黄瀬が近付いてきたことに気付いたのか、ふっと安心したような笑みを口元に浮かべる。



「こんなところで何してるんスか?もしかして…誰か待ってるんスか?」

「ええと…黄瀬先輩のこと、待ってたんです」

「え…俺のこと?」

「はい。もう先に行っちゃったかなって思ってたんですけど、会えてよかったです」



美里香の微笑みにつられるように黄瀬の表情も和らぐ。

こんなところで自分を待っていてくれるなんて初めてのことだったから少し戸惑ってしまった。
昨日のことで美里香ちゃんも何か思うことがあったのなら、それはそれで嬉しいことだ。
けれど、何の理由もなく突然こんなところで待っていることもないだろう。

なんとなく聞いていいものか迷っていると、美里香の方から話を切り出してきた。



「黄瀬先輩に、ちょっと相談したいことがあって…」

「うん、なんでも聞くっスよ!」

「…純奈のことなんですけど」

「純奈ちゃん…」



まさか美里香ちゃんの口から純奈ちゃんの名前を聞くことになるなんて思わなかった。
言い出しにくいのか、美里香ちゃんも口が重そうだ。

いつからか二人の仲が拗れていることは分かっていた。
そして、美里香がそのことを気にしていることをたびたび聞いていた黄瀬は表情を曇らせる。
まさかまた何かをされたのか…そう思ったけれど、純奈が入院していることを思い出した黄瀬は不安を打ち消して気遣うように笑いかけた。



「うーん、なんだろ。どんなことっスか?」

「あの…今、純奈って入院してますよね」

「うん、赤司っちが言ってたけど…来週くらいまでは入院しないといけないみたいっスよ」

「…純奈のお見舞いに行こうかなって思ってたんですけど…よかったら先輩たちも一緒に来てほしくて…」

「え?」





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