二軍と三軍の体育館に給水器を置いてタオルを配ってから、一軍のいる第一体育館に入っていく。

あたしたちがやってきたことに気付いたのか赤司先輩が全員に向かって休憩の指示を出した。
赤司先輩には一時期ひやひやさせられたけれど、今となっては過去の話だ。

そんなことを思いながら給水器を置くと、練習を切り上げた部員の人たちがわらわらと給水器の周りに集まってくる。
誰かまだドリンクを持っていっていない人はいないだろうか。
赤司先輩と黄瀬先輩と緑間先輩は自分でドリンクを注いだ紙コップを持っていって壁の方で何やら話をしている。
黒子先輩は桃井先輩が見付けて真っ先に向かっていった。
あとは青峰先輩と紫原先輩…そう思いながらコートの中を見回すと、なぜか二人で一対一の練習をしている光景が目に映る。
なんとなく紫原先輩がこちらの様子を気にしているような気がして、ドリンクの入った紙コップを二つ持って二人の元へ近付いていった。



「青峰先輩!紫原先輩!もう休憩の時間ですよ、赤司先輩が言ってました」



そう言いながら二人に紙コップを差し出すと、すかさず紫原先輩がこちらにやってくる。
紙コップを受け取りながらも心底うんざりしたような顔をしていて、その表情を見てここに来たことは正解だったと思った。
それとは反対に、青峰先輩は悔しそうに、それでもどこか楽しそうにしている。
ドリンクを飲みながら青峰先輩は紫原先輩に笑いかけた。



「紫原のディフェンス、マジで固いよな」

「美里香ちん、ほんとにありがと…峰ちんに付きまとわれて飲めなかったんだー…」

「付きまとわれてってなんだよ!」

「はー…峰ちんの一対一、疲れる…」

「あはは、ドリンク飲んで少し休憩してください。今、タオルも持ってきますね」

「お、サンキュー」



二人を背にタオルが置いてあるところに向かっていった。
笑顔を絶やさずにはいたけれど、無性に気になったことがある。


どうして、青峰先輩…今日は黒子先輩と練習してないの?


普段から青峰先輩が黒子先輩のパス練習に付き合っていることは練習の風景から把握していた。
あの二人の仲が良いことをよく知っていたから、こんな違和感を感じたのは初めてだ。
ただ今日は別のことをしようと思って紫原先輩と練習していたのかもしれない。
なんてことないことだ、そう思ったのに、なぜか気になってしまう。

タオルを持ってまた二人のところに戻っていくと、二人は何か話をしていた。






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