更衣室で練習着に着替えてから、上の空で第一体育館に向かった。
向かう途中に黄瀬くんに何か声をかけられたような気がしたけれど、何を言われたのかはよく覚えていない。


部活が始まる前のミーティングのとき、いつものように赤司くんが一軍のバスケ部員たちの前に立って今日の連絡事項を伝えていく。
その話すらあまり頭に入ってこなくて、その姿をぼうっとした瞳でただ見つめていた。
ふと赤司くんと目が合ったような気がする。
けれど、赤司くんはすぐに目を逸らして話を続けた。



「週末に純奈の入院先に行ってきたんだが、退院したら部活に戻ってきてもらうから、そのつもりでいてくれ」



思わず目を見開いてしまった。
そして、赤司くんが今この場でこんなことを言った意図が理解できなかった。

少し気になって横目で見咲さんが体育館内にいないか確認するけれど、なぜか桃井さんも見咲さんもいない。
赤司くんのことだから、それはあらかじめ確認してから言ったのだろう。
つくづく赤司くんの用意周到さには驚かされてしまう。

なんとなく赤司くんはキセキのみんなに向けて言っていたような気がした。
だから目が合ったように感じたのかもしれない。
みんなの方を見てみると、なんともいえない表情で赤司くんを見つめていた。











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