間宮さんの悲鳴が聞こえた瞬間、はっと我に返った。

いつの間に移動していたのか、自分はちょうど影になった場所の壁に背中をしっかりとつけて呆然と前を見つめていた。
今どんな顔をして見咲さんを見たらいいのか分からない。
とにかく、今の見咲さんと鉢合わせてしまうのは危険だと感じた。

しかしこのまま放っていくわけにもいかなくて、先ほどまで二人が立っていたところに思いきって目を向ける。
見咲さんがいたらどうすればいい、そう思ったけれどもう二人の姿はなかった。
途端に血の気が引いていく。

どうして、どうしてこういうときに限って誰もいないんだ。



「間宮さん…!?」



思わず大きな声を上げて階段の方まで駆けていった。
間宮さんのあんな悲鳴を聞いてしまって、胸騒ぎが止まらない。

階段の上まで来たところで、とんでもない光景に息を呑んだ。


まるで地獄絵図だった。
呆然と立ち尽くす。


階段の踊り場で、血溜まりの中で少しも動かない間宮さんが、ただ怖かった。
慌てて階段を駆け下りて何度も間宮さんの名前を呼びかけるけれど、何も反応がない。

このままでは本当に死んでしまう…そんな恐怖が全身を駆け抜けて、先生を呼ぶために保健室に全力疾走した。
頭が混乱していてどのように先生の話に返事をしたのか、よく覚えていない。
ただ間宮さんのことが心配だった。
あんなに大量の血を流していて、無事なはずがない。
そして、その決定的な場面を見てしまったことに抑えきれない衝撃を受けてしまった。


いくら何かされたからといって、あんなことをするなんて…。
見咲さんの狂気に満ちた瞳、そして見咲さんのとった行動が恐ろしかった。
あれは何かの間違いだったのではないか。
そんなことを思ったけれど間宮さんのあの姿は、確かに現実だった。











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