「バスケ部の先輩、めちゃくちゃカッコいいんだけどー!」

「今度の土曜日に地区大会あるみたいだよ!応援しにいかなきゃ〜」

「美里香!あんたが行けばイケメンの先輩とお近付きになれるかもしれないよ!」


休み時間に純奈が教室にいないとき、クラスメイトたちと廊下で話をして帝光の男子バスケ部がとても有名だということを知った。
新入生の入部の受付期間も終わりに差し迫るときで、このまま部活に入らないのもつまらないかと思っていたときだったから少し気になった。

運動系の部活に入るつもりはない。
文化系の部活は見て回りはしたけれど入りたいと思うものがない。
バスケ部のマネージャーは考えていなかったけれど、それならやってもいいかもしれない。気付けばそんなことを思い始めていた。
ここまで有名で羨望の眼差しを浴びている人たちの傍に行って、どんな人たちなのか知りたかった。

けれど、一人で入るのには不安を感じていた。
熱意があれば別の話だろうが今回はそうではない。
あくまであたしの興味本位だったから。















「…純奈…あのね、あたしバスケ部に入ろうかなと思うの」

「バスケ部…」


昼休み、ふいに休み時間のときに話したことを思い出した。
もう時間もあまり残っていないということが焦りを招いていたのかもしれない。
思い切って話をしようか迷ったけれど、後々のことを考えて打ち明けることにしたのだ。
純奈は話を理解しているのかしていないのか、微妙な顔をしている。


「…すごく大変そう。私、バスケとかルールもあんまり分かってないよ」

「違うの!あたしが言ったのは男子バスケ部の方で…マネージャーになろうと思ってるの」

「そうなの…?帝光のバスケ部って本当にすごいもんね、美里香だったらバスケ部の先輩たちともうまくやっていけると思う」

「…純奈はあんまり興味ない?」

「私は男子バスケ部のマネージャーなんてできないよ…男子ともそんなに話せないし」


本心からそう思っているのか純奈は気まずそうに呟く。
それでも有名な帝光バスケ部に全く興味がないというわけではなさそうだった。
どうしても純奈と一緒にマネージャーになりたかったあたしはらしくないと思いながらも必死に説得をした。

なかなか頷いてくれなくて少し諦めかけたとき。
あたしがいるから絶対に大丈夫。そのひと押しの言葉で純奈は男子バスケ部のマネージャーになることを決心してくれた。











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