病院を出てから、たくさんの店が並んでいる通りまで歩いていき、目的の店に入った。
あまり行くことのない店に入ったのか赤司は物珍しそうに店内を見回す。
二人で商品を見ているとき、赤司が呟いた。
「こんな店があるのは知らなかった。黒子はよく知ってるんだな」
「別に知ってるというわけでは…桃井さんがよく話しているのを聞くだけです」
「そうか。まあ、これでいいだろう」
適当な商品を選んで会計を済ませてから赤司が黒子の元に戻ると、黒子が自分に何かを差し出している。
それが会計した半額分のお金であることに気付いた。
赤司は黒子の手の上にあるお金を見て、口を開く。
「これはなんだ?」
「…半額で構わないので僕にも出させてください。もちろん、僕と一緒に買ったというのは間宮さんに伝えなくていいです」
「…」
「今できることはこれくらいだと思うので…あと、伝えても間宮さんに余計な気を遣わせてしまうだけだと思うので…」
「…分かったよ」
不安そうな眼差しで頭を下げられてしまい、受け取らないと言うわけにもいかず、赤司は半額分のお金を受け取った。
黒子はほっとしたように表情を緩める。
それから二人はその店の前で別れた。
赤司は病院までの道を引き返して、黒子は駅の方へ歩いていく。
最後に赤司に見せた黒子の表情は幾分か落ち着いていた。
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