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あの幸村の試合は結局G、Hの勝利で終わった、16-0で
言うまでもなく得点は全て幸村のホームランによるものである、このまま行ったら絶対野球はG、Hが優勝するであろう


と、まぁ幸村の試合も終わったから野球場から離れ、今いるのは体育館である
何故かというと外が思いのほか暑くて避難して来たわけだ、せめて自分達の試合までは涼みたい


「っはー!体育館涼しくあらへん!」

「運動している上にこの人出だ、暑いだろうな」

「まぁ日差しが当たらないだけ外よりはましですよ」


確かに体育館は風通しも良く、ギラギラと輝く太陽からは守ってくれるからな、まだましじゃ


「あ、」

「ん、どった?」

「あれ丸井君やない?」


白石の指差す先には青のTシャツを身にまとう赤髪の姿があった

あれ、ウィッグどこいった
せっかく人が早起きして付けてやった物を…


ピーっと笛の音が体育館に響きわたるとその笛の音と同時に体育館の半面から歓声が上がった


【3-C・Dvs1-A・Bは37-45で1-A・Bの勝利です、1-A・Bは準決勝へコマを進めます】


「A・Bの勝利か…予想通りだな」

参謀はポケットから折り畳んでいたトーナメント表を取り出し赤ペンで書き込んでいる

今更だが今年の一年容赦っちゅーもんを忘れとる気がする


「みんな頑張っとるなぁ」

「ですね、私達も頑張らなくてはなりませんね!」

「そうじゃのう」

「盛り上がっているところ悪いがそろそろ昼ご飯を食べないと試合開始時間に間に合わなくなるぞ」
「もうそんな時間か」

時計を見ると針は12を指していた
ドッチボールの試合は13時からなので確かにそろそろご飯を食べないと試合中に気持ち悪くなりそうだ
食後の激しい運動はダメ、絶対。


「どこで食うんじゃ?」

「中庭辺りでいいだろう」

「では行きましょうか」

「せやな」


中庭は大量の花壇があり夏場は蜂などの虫が飛んでおり、危険ということで近づく人はあまり居ない
だが今の季節は秋、もう虫は居らんしそこまで寒く無いから中庭は今がいい時期じゃな


「あれジャッカル君ではありませんか?」


ヒロの目線の先にはよく煮玉子と言われているジャッカルがいた
気づくかと思いながら少しの間見ていたら気づいてこちらにやって来た
よく気づいたのぅ、と少々関心していたら俺の真後ろで白石が手を振っていた
そりゃ気づくな


「ジャッカル君お疲れさん」

「お疲れ様です」

「おう、白石達は今から試合か?」
「せやで、昼飯食うたら時間になるからな」

「食い過ぎると戻すから気をつけろよ」

「…ドッチボールってそないに危険な競技やったっけ」

「相手がA、Bだからな」


A、Bは真田が居るクラスだ、初戦から真田のクラスとか死にたい
去年の真田のドッチボールを見てからドッチボールに恐怖を覚えるようになったんに…
じゃからドッチボールに決まった時は焦った、真田であれなら幸村は大地を引き裂くと想像していたからな
いや空を引き裂くくらいの事をしそうじゃな幸村なら


「まぁ取りあえず具合悪くならないようにやれよ!じゃあ俺はクラス行ってくるわ」

「おー、いってら」


ジャッカルはそう言うとクラスの男子らと校舎へ向かって行った


「さて、食べますか」

「「おう」」
「ああ」


(やっぱ雅治クン家の玉子焼き美味しいわ)
(確かに母さんの玉子焼きは美味しいですよね、私も大好きですよ)
(って白石また俺の玉子焼きを無断で…)
(もぐもぐうまー)
(……)
(まぁまぁ雅治、私の1つあげますから)
(見ていて飽きないやつらだな…)
((柳クン/参謀何か言うた?))
(いや別に)

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