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「私たちは午後からでしたよね?」

「ああ、そうだ」

「そんじゃそれまで他の競技見て回るとするか」

「それええな、面白そうや」


と、まぁ他の競技を見て回ることになった



+++++++++


ついた先は野球場


「えーっと確か野球は幸村君でしたよね」

「そうだな、って真っ只中じゃのぅ」

「ナイスタイミングやな」

「G、Hと戦ってるのは二年生?でしょうかね」


幸村達と対戦しているクラスの短パンに入っているラインは青、今学年カラーが青なのは二年生だからヒロの言っている通り相手は二年生であろう
ちなみに俺らは緑、三年は赤である

この学年カラーというのが結構面倒で上靴、ジャージ、名札まで緑色である
まぁ名札は高等部に入ってから付けなくても良くなったのだが


「おそらく二年のCDクラスだろうな」

「誰か知っている先輩居ましたっけ?」

「居るがお前らは覚えていないだろうな、特に仁王」


ギクッとするのぅ
というかまぁ、人の名前を覚えるのが苦手じゃから本当の事なんじゃがな
同学年のテニス部は全員覚えているからいいとしよう


「まぁいいじゃろ、ヒロも覚えるの下手じゃしな」

「…得意ではないですね」

「意外やな、2人とも暗記得意そうなんに」

「こいつらは名前を覚えても顔を一致させられないだけだから暗記が苦手というわけでも無い気がするがな」

「なるほどな、四天宝寺のメンバーみんな覚えるん早かったから変な感じするなぁ」


四天宝寺といえばかなり個性的なメンバーが集まってて、たしか忍足がいたな……懐かしい(※番外編「双子と大阪」参照)


「千歳とか一回聞いただけで覚えよるかなぁ、謙也とかも新入部員の名前覚えるん早k〜〜!」


突然視界から白石が消えた
何事かと思って辺りを見渡すと頭を抱えてうずくまっていて隣にはボールが落ちていた



「「「「よっしゃ幸村ナイス!」」」」


え、何これ幸村が当てたん?
つか人に当ててよっしゃって結構酷いのぅ・・・

白石にボールを当てた本人である幸村を探そうと野球場を覗き込むとヘルメットを被った幸村が満足気に一塁から順にベースを踏んでいた

視線を足元でうずくまる白石に移すと幾分か回復したようだ、だが目には薄っすらと涙がうかがえる
そりゃ硬式の野球ボールは痛い


「にしてもすごいですね・・・」

「何がじゃ?」

「点数ですよ」


点数と言われてバッターボックス近くにある得点表を見るとそこには7−0と書いてある
2年生ボロ負けじゃな
まあ幸村がおったら幸村だけで2、3点は軽く取られるじゃろうし


「真希遅いよー!幸村君の試合めっちゃ面白かったのに」
「おもしろいも何もあるの?だって幸村君テニス部だよね?」
「そういう面白いとはちょっと違うんだけどさ、こうなんていうのかなぁ」
「?」
「今7−0じゃん」
「うん」
「あれ、全部幸村君が入れたんだよ」
「うそだww」
「嘘じゃないよww誰か塁に出てた時にごっそり取ったりソロホームランだったりw」
「幸村君ぱねぇww」
「真希w学校で素になってるよwwww」
「あwwwwしくったwww」
「wwww自重wwww」


あー
クラスの女子の意外な一面はいいとして、この7点は全部幸村が入れたと・・・
なんか2年生がかわいそうになってくるな

そんな事を考えていると張本人である幸村が目の前にいた


「あれ?仁王に柳生、それに柳に白石君も、どうしたの?」

「どうしたもこうもお前さんを見に来てたんじゃが」

「あ、本当!凄かったでしょう!」

「凄いどころでもなかったがのぅ」

「今の所全部俺のホームラン!」

「聞いた聞いた」

「さすが俺☆」


普段と変わらないテンションで笑顔を振りまく幸村
こいつはいつもこんな笑顔を振りまきながらとんでも無いことをやり遂げている


「それでさ」

「どうした精市?」

「白石君は何があったの?」


いまだに体育座りをして縮こまっている白石を指差して微笑を浮かべたまま首をかしげる幸村
当てたのお前じゃよ、幸村


(精市・・・)
(?)
(お前が打ったボールが白石の後頭部に直撃した)
(え、嘘!?)
(本当じゃよ幸村、そこのボール見てみんしゃい)
(・・・・白石君ごめん)
(大丈夫ですよ幸村君・・・私達は白石君のことを忘れません)
(白石、短い間じゃったが楽しかったぜよ・・・)
(ああ、安らかに・・・)
(ちょっと、殺さんといてくれる!?)

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