10
「来たか」
俺達が正門に着くとそこには参謀だけがいた
「ゲホッ、はぁ…待た、せた」
「すみません遅れました」
参謀は読んでいた本をパタンと閉じると今度はノートを取り出して何か記入しだした
「犬に追いかけられたようだな、大丈夫か?」
ノートから目を離さず聞いてくる参謀
そう、さっき俺は(俺達ではない)犬に追いかけられた
俺は昔犬に右手の肘位まで噛みつかれたトラウマがあり犬が苦手
チワワ位ならまだなんとかなるがその追っかけてきた犬はゴールデンレトリーバー
右手をガブリといったあの犬もゴールデンレトリーバーだった
+++++++
ヒロに目もくれず俺だけを追いかけてくる犬
俺は本能的に全速力で逃げた
これこそまさにデッドorアライブである、生きるか死ぬかの境目だ
結局その後正門付近まで逃げたら飼い主が出てきて俺は助かったのだが、その飼い主は氷帝の宍戸だった
あれこいつ今学校じゃろ?なんて思いながらもやっと犬から解放されて安堵のため息を吐く
しかし宍戸は身長が伸びたの…俺も伸びた方なのに対して変わらないくらいだ
「俺んちの犬が悪かった、じゃあな」
そういって犬と走っていなくなった
「雅治ーっ!大丈夫ですか?」
宍戸が居なくなった後に後ろからヒロが走ってきた、その手にはさっき俺が慌てて落とした白桃カルピスが握られていた
「死ぬかと思った……」
「お疲れ様です」
ヒロからペットボトルを手渡された、俺に追いつこうと走ったのかカルピスは泡立っていた
「ですが正門につきましたよ」
「はぁっ…参謀居るぜよ」
そして冒頭に戻るのである
+++++++++
「お得意のデータかの参謀」
「いや、全速力で逃げ惑うお前が目に入ったからだ」
「………」
「どんまいです」
うん、別に参謀に見られても……良くないな
そしてヒロが「どんまい」と言った事に対して地味に驚いてみる
「まぁデータは記録させてもらうが早く行かなくては弦一郎に怒られるぞ」
「忘れとった、行くか」
「ですね/ああ」
(所で宍戸はなんで犬の散歩しちょったんじゃろうか)
(宍戸とは氷帝の宍戸か?)
(おう)
(宍戸は今学校に居るようだから他人の空似、または親族だろう)
(兄貴とかかの)
(かも知れないな)
- 10 -
*前|次#