06
「ついにきたの。」
「はい、しかし腹をくくりましょう。」
「じゃな。」
今日は朝練もあって一緒に登校してきた。
そして今部活が始まる前の挨拶みたいなのが始まる。
「じゃあ今日の朝はボレー練習ね、他に誰か連絡ある人いる?」
今二年生は修学旅行に行っていて今の部活は中等部時代の部長である幸村が仕切っている。そして俺はヒロとアイコンタクトをすると思い切って声を出した。
「「幸村/君」」
「何かあった?じゃあ最初に仁王。」
「あっいや俺だけじゃなくてヒロもなんじゃが。」
そういうと幸村は頭に?を浮かべる。そんな幸村横に立つ様にして2人で前の方にでる。
「えー昨日から柳生雅治になりました。」
「雅治、いろいろはしょりすぎです。」
シーンとした空気が辺りに漂う。そう、まるでギャグが滑った時のような嫌な空気。
「…仁王、比呂士と結婚でもしたのか…。」
丸井がこいつ頭おかしいんじゃね?とでも言いたそうな顔で話しかけてきた。
「ちっ違いますよ丸井君!」
「だが仁王はヒロ、柳生は雅治と呼び方を変えていたな。」
「参謀…。」
丸井の言葉からざわざわと辺りが騒がしくなる。だが、なかなかに内容が可笑しい。
「あ゛ぁぁああ!!だまりんしゃい!ヒロとは兄弟じゃ!」
「「「「………は?」」」」
基本あんまり大きな声を出さない俺が叫んだことに驚いたのか言った内容に驚いたのか今度はポカーンとしている。
「ええ、最近両親が復縁しまして雅治は正真正銘双子の弟です。」
「んでヒロは兄ちゃん。」
そういい切ると勢い良く丸井が意見を申し立てる。
「まて、お前ら血液型違うだろぃ!!」
「確かに仁王はAB、柳生はAのはずだが。両親はABとAなのか?」
「参謀の想像通りじゃな。母さんがAB、父さんがAで俺ら二卵生の双子じゃから血液型は違うんじゃ。」
「……じゃあ本当に。」
丸井が恐る恐る尋ねる。
「「双子じゃ/です。」」
朝練は練習どころじゃなくなり、幸村だけが知っていたかのようにニコニコとこちらを眺めていた。
□□□
「ヒロ…部活は乗り切ったが今度はクラスじゃな…。」
「そうですね…先生が事情を知ってるはずなので幾分か楽だと思いますが。」
「気合いで乗り切るぜよ。」
「はい。」
そんな話をしながら俺らの教室1年F組へ向かう。教室は昇降口からすぐの階段を上ってすぐの二階なので楽。
いつももと変わらない教室。
だがやはりテニス部が数名いるのでそこはテニス部で集まって話している。
ガラッそんな音を立てて担任が入ってくる。
「おーお前らおはよう!」
そんな朝からご苦労様、な感じなテンション。我等の担任マキちゃんである。週番が朝の挨拶の号令をかけ挨拶をする。
「えーと今日の連絡事項は無いけど、柳生達話しあるんでしょ?」
いきなり担任に話を振られて驚いているヒロ。ヒロの予想と少し違っていたのか焦っているのが見ているだけで分かる、そしてこっちを向いてきて一緒に来てくれと言われた。
いやむしろ今回俺がいうべきなのでは?
なんて思ってるうちにヒロに引っ張られ教卓の前に居た。
「この度俺達結婚する事になりまs「違うでしょう!!」
ヒロに首もとを掴まれてかなり激しく揺すられる。
「冗談じゃ。」
「まったく…冗談じゃ済まされませんよ。」
「そこの双子早くしないと1時間目始まるよ。」
「「「「双子?」」」」
「中等部のテニスの話だろ?」
「あぁ入れ替わりしたやつ。」
どうやら勘違いをしているようだ。
この担任が言った事実を入れ替わりダブルスの事と勘違いしているようだ。外部から入学してきたやつは全く分かってなさそうだが。
「今早坂先生が言った通り私達は双子でした、なので今日から雅治は仁王雅治でなく柳生雅治になります。」
「柳生、別に話合わせなくて大丈夫だから。」
「あの、本当なのですが…。」
柳生が真顔で話すと数名が固まる。
「またまた、冗談だr「ほ。れ」」
そう言ってコイツの目の前に住民票を突きつける。信じる奴の方が少ないと思って父さんから借りてきた。持ち歩くべきものでは無いと思ったが仕方がないことだ。
「……まじ、かよ。」
「ちょ中村まじかよ!俺にも見せr……っ本当だ…。」
「ビックニュースじゃん!!」
「私E組行ってくる!」
「私も行く!」
「「………」」
こうなるとは思っていたが予想以上の反応である。
「俺の事は前みたいに仁王でいいからの。」
「よし終わったね!んじゃHR終わり!………週番!」
「あっはい!起立、礼。」
挨拶を手早くするとクラスの奴らは携帯を取り出すか教室を飛び出ていっ。た
「なぁヒロ。」
「なんですか?」
「なんかもう帰りたい。疲れた。」
「同感です。」
「「はぁ…。」」
(最近よくハモリますね。)
(じゃのぅ、双子としての自覚が出てきたんじゃよ。)
(…どんな自覚ですよ。)
(まぁまぁ、赤也辺りが放課後来そうじゃの。)
(確かに…。)
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