※戦国(?)パロです 情報収集がてら城下の甘味屋に立ち寄った こうして町民の行き交う町や商店での会話の中にはたくさんの情報が行き交う 町の金回りやら状勢や方針 町の治安 城主の手腕 これは長年の諜報として培われた勘を持ってしてこの茶屋に客として訪れている。 幼き頃よりこうした類いの仕事を続け、今や同業者の間でも名高く『暗闇の雲』と唱われるまでになった。 この町を訪れたのは殆んど初めてだった。 南西の特になんの辺哲もない小さな町。しかし最近になって活気だつ市や商業が盛んになり急成長を遂げつつあるこの町は格好の『的』である。いつ他の軍に攻め困れるかも分からないのに なんとまぁ、暢気な町だ。 民からなにまで平和ボケしている。 しかし喰えないのは町民の信頼の篤い城主のことだ。まだ年若く町の娘たちは細々と小声で浮わついた話をしているし、百姓たちまでが城主を「豪気だ」「大したお方だ」ともてはやしている。皆が町の政策に満足を覚えているのが伺えるようだった。 取り敢えず茶屋に来たはいいが、実はあまり甘味はすき好んで食べる代物ではない。 なにが嫌と、この甘ったるい匂い。 忍としては匂いは禁物だ 「ご注文は?」 この団子屋の看板娘らしい女の子がせかせかと注文を聞き回り、忙しくしている。 「おや、見ない顔だねぇ」ひょい、と暖簾を上げて店に入ってきたのは20代と見受ける男。 あ、と娘は常連なのか会釈をして顔を明らめて男を見る。 それに男は人のよい笑みを浮かべて手を挙げる。 装いからして商人というわけでもないらしいし、家紋こそ入っていないが手にある剣ダコから私用で団子屋を訪れた浪人と脳内で位置付ける。脇刺も持たずこのご時世に随分と無防備なことだ。 「おっちゃーん!団子頼むわ 俺とこの子に4つな!」 「!」 ちょっと待て儂は何も頼んでないぞ、とその男を見上げると「隣いいか?」と是非も聞かずに座り込んだ。 「まぁーそう固いこと言いなさんなって!ここで会ったも何かの縁ってな。名前聞いてもいいか?」 「……………『雲』」 別に気を許したということではない。この客は先程からやたら人目を引き店主にも覚えがめでたい上客といった客層のようで、見た通り口も軽いように見える。情報を得るにはこのような輩から聞き出すのは得策だ。しかしよくよく見れば端正な顔立ちをしていて肩に掛かる長髪も手入れがいきとどいて美しい。かといって軟弱な印象はなく人当たりもいい。人に物怖じさせないのは彼の醸し出す雰囲気のせいで、きっと女性からは引く手あまたであろう。 「へぇー…お前さんにはお似合いな名前だなぁ。…掴み所のない別嬪さん。」 「…その手を離さんか馴れ馴れしい」 「ちょっとした挨拶ってやつだって」 にこにことご機嫌な様子の奴を無視して先ほどから忘れかけていて冷めきった茶をすする。 お待たせしました、と娘が持ってきた団子を嬉しそうに頬張る奴を目の端に映しながら通りを眺める。 「…ここは平和ボケした街だな」 「いい街だろ?」 「城主の手腕か」 「ん〜…っていうより皆が皆、一生懸命だからじゃねぇの?」 「……何にだ?」 「生きること、とかかな?」 下手に片目を瞑って笑いかける。お前も随分変わった奴だな… 生きること、なんて 自然の営みに流されるまま暮らしてきた自分にとって、生きることに懸命になるという印象は持ち合わせていなかった。 なにせ、自分は忍。道具だ。 ただ彼らもただ毎日を何の感慨もなく暮らしているわけではない、ということなのだろうか。 「……下らぬ」 「まぁそう言いなさんな」 団子をたいらげて茶を煽ると「ゆうなチャン御馳走様!」と店の奥に引っ込んだ娘に声をかけた。 「帰るのか」 「ああ。どっから来たか知らんがこの街を楽しんでってくれ。自慢の街だ。」 そういって暖簾を跨ぎ、男は去っていった。 「…会計をお願いする」 興がそれた。あの男は調子が狂う。売り子の女に声をかけ、財布を取り出した。 「失礼ですが、お客様の会計は済んでおりますよ?」 「……は?」 嫌な予感がした。 あんなやつに見透かされるなんて腹がたつが、諜報活動をしていればまた再び会うことにもなろう。 その時はこの屈辱 どうやって晴らしてくれようか。 「城主様がお客様の分もお支払して行かれましたよ」 されば巡り合わんこと (殿!彼奴は忍ですよ!町を偵察に来たに決まっています!)(あー?いいんだよ)(面白くなってきたじゃんか、なぁ?) ――――――――――― 意味不ですいません(^q^) 楽しかった。 |