「君がハムザ?」

屋敷の庭先に現れた青年は
白い肌、猫のような金色の瞳、夕陽に透けたシルバーブロンド
肩にかけたカーディガンを羽織直す仕草に細く繊細な腕。ヨハン・ルーカス。
ルーカス家の次男で確かに数えで14になるところだったと記憶している。

「私は400型アンドロイド・ハムザ。あなたのお父上がこの屋敷の防犯を強固なものにするために私を選びました。私はルーカス家の皆さまを守るボディーガードです。」
「新しいアンドロイドは今度はヨーロピアンか。父も道楽に飽きたらない」

さも興味がなさそうな顔でぽつりと漏れた本音はきちんと拾えたのだが、私には思うように話すべき言葉が見つからなかった。
驚いたわけではないが、か細い印象とは裏腹に歯に衣着せぬ人物らしい。

「なら君は新規モデルか」
「はい。アンドロイドの急激な普及にともない以前の型はモデルチェンジしておりましたので、御当主はわたしをご購入なさいました」

「機械の流行り廃れは早いもの、お前も二、三年のうちに廃棄所に投げ込まれてしまうのだろうさ」
特にシニカルさは感じられない
本当に思っていることなのだろう
「明日芽を出し窯に燃やされる草木と比べたら幾分ましかと」

「……驚いた。そんな口も聞けるのか」
「技術は日々進化しています。」
「今に持ち主そっくりのひねくれものになるな」

先が思いやられる、といいつつ彼は手始めに買い出しに私を付き合わせたのだった。


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