「また会いましたね刑事さん。…車に引かれたとか?」
「つい」
「なんだついって。全くよ………なんなんだよこいつ」

相方の落胆に何処を吹く風か、新聞を賑わせた凸凹コンビがヨハン邸に来たのは午後3時を回った頃だ。

「仕事は順調ですか」
「概ねです」
「しっかし不思議なもんだなアンドロイド同士の会話ってのは」

やっていられないと言わんばかりにかぶりを振る彼の同僚は白髪混じりの頭をかきむしっている。なにかに気づいた彼は警部の手からパッと飲み物を取り上げる

「あなたはコーヒーの飲み過ぎです」
「体調管理に体質改善、注意喚起。優秀なパートナーですね」
「なんなんだほんとお前たち」

彼らと知り合ったのはこの近くで起きた誘拐事件の調査だそうなのだが、察するに進展は見られていないらしい。デトロイトでは近年犯罪の増加が著しく、あまり驚きはしないのだが。
こうして何度か足を向けてくれるが生憎いつもヨハンは眠りの中だ。五徹目なのでああなるとてこでも起きない。

「何度も足を運んでくださりありがとうございます。よろしければ伝言を承りますが」
「いえ、聞き込みの一環なので御本人に会えればと思いますし、さしたる苦労ではありません。ご協力感謝します」
「おい、なんでてめぇが言うんだよ。足を運んでんのは俺だろ」


なにかと文句を垂れていても、なかなかにいいコンビだとハムザは思った。

ふと、早く髪の毛がボサボサのまま無防備に呆けるヨハンの寝ぼけた顔が見たいと思った。

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