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鴎外さんは、往々にして珍妙なモノが好きだと思う
僕のことも何の気なしに居候させるし
もとより物好きなのだろうけど
僕だって世話になってる自覚はあるから最低限鴎外さんの邪魔はしたくない
ましてやこの洋装被れの女にだってそうなのだ
「春草くんは大成するねぇ」
まじないめいた語りのこの女
口を開けば根拠のない言葉ばかり
「山とかを描きなよばーんとさ、
日本らしいじゃん?富士山とかさー」
好き勝手宣うこの女は作意ばかり感じる
お前の予言みたいな言葉を信じたら何か得られるわけ?
お前は巫女か何かなの。
「俺のことよく知りもしないでよく言うね」
女はきょとん、とした顔をしてから、可笑しそうに笑った
なんだかムカつく。
確かにねー、じゃないよ。
でもすっ、と顔から表情が抜けて…、
表情が消えたんじゃなくて、見たこと無いような目でこっちを見やるから何かと思えば、今更思うがあれはあの子の本気の目だったのだろう
「努力した人が報われることは知ってるよ?」
その顔が忘れられなくて
ああ、今更馬鹿みたいだけど
あのとき彼女を描けば良かった
隣の芝は青い(人のものは)(好きじゃないのに)
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