子供は好かない。
彼らには理論が通じないからだ。
定義や意義を持たない言動や無知故の過ちに振り回されたいとは誰も思わないだろう。振り回される方もまた哀れと言わざるを得ない。厄介事は他人に押しつけるに限る。
そんなこの私が厄介事に巻き込まれるとは誰も思うまい。
「こんにちは。私はあなたの未来の子供よ。」
「…」
目の前に立つ小さな小さな少女。あまり感情の起伏を感じさせない瞳は宝石のような光をたたえた理知的な顔立ちだが、如何せん言動に問題があった。
「…私のことはどこで知ったのかな、お嬢さん」
「パーパはマンマのことをちゃんと愛してくれているのか心配になったから、確かめに来たのよ」
「…」
根拠もない御伽噺に耳を貸す程度に私は暇ではないし空想に耽る趣味もないが…何ら関係のない、という気持ちになれないのは見覚えのある大きな瞳に、菫色の目のせいだろう。
詰まるところの空想の言葉を借りるなら…
母に似た赤毛、ということだろうか…
「君は私に何のようかな。」


「…そもそも現在の私にお嬢様とそのような接点はない」
「じゃあパーパの片思いだったの?」

片思い
私が、お嬢様に?
「…君は愉快な人物のようだ。母に似たのかな?」
「私の質問に答えてくれたらいいわ」

「君に最後に質問だ」
「…君の側使いにルカというのはいるのかな?」
「ルカ叔父さんは私の錬金術の先生よ。パーパは忙しいからいつもルカ叔父さんが教えてくれるわ」

どうやら…健気な愚息は痛々しくもいまだにお嬢様のそばを離れないとみる
「一途と言えば聞こえは良いが…マゾヒストなのか」
「私の質問に答えてちょうだいよ」
「ああ…そうだな」

ルカをいじめ抜く為に結婚したのかもしれない
「君の存在が、その答えなのだろうね」


哀しき悪食
(それはそれで)(退屈しない人生であるかもな)(なんて)(笑うしかない)



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