愛してるなんて
空虚な言葉でしかないなんて思っていたのに、信じたくなっている今の方が、過去の自分にとっては薄ら寒い冗談のようにしか聞こえないのだろう
私のこの胸は漠然と眼前に立つフラフラな身体を想って悲鳴を上げてる
私の体も、もう申し訳程度の玩具のようだった

「パパは、ママを愛してなんかいなかった
愛なんてなくても子供は産まれるし育つ」

今する話じゃないけど、キングは黙って私の話に耳を向けてくれてる。空気でわかる。瞳を閉じる前の寝物語程度でいい。
傍にいたかった

「結婚したら真っ白なコテージに住みたいな。子供は二人欲しい。
静かな森の近くで川の音を聞いて、ピクニックしたい」
「…白は、汚れるぞ」
「大丈夫、背の高い旦那様に掃除して貰うから。男の子がパパに似て欲しいな。
女の子だったら怖くて近寄りがたくなっちゃう。目つき悪くて泣かせちゃうわ。男の子は旦那様に似て、優しい人になって欲しい」
「…」

血が止まらない こんなものか
死に方は自分で選ぶって決めてた
家族とかいう繋がりを振り捨ててここまできたのに
最後にはまた、気づいてしまった
私は愛したかったのだ
死してなお愛した人の中に存在したかった
家族が、欲しかった。

「好きだよ…キング」
「あぁ…」
「好き、好きなの、好き。貴方を愛してる」
「…」
「私の心は全部あげるよ。」
「…あぁ」
「愛してる、よ
キング」



あいしてたよ私のおうさま
どうか次に見る夢は
あなたの隣にいたい



(消えゆく命に)(未来を)(愛しの我がアギト)



←  →




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -