「ねえ清明、なんで立夏が好きなの?」

ぼんやりとテラスから夜空の月を眺めていた清明がやっとこちらを向いた。
清明ったら1に立夏2に立夏、3番目にくらいに草灯、みたいなものである。

清明の為に点てた紅茶はもう冷めていた。
代わりに新しいアールグレイを点てたら清明は終始笑みを崩さず受け取った。

「そうだね。君は酸素を嫌がって空気を吸うのをやめるかな」
「まさか。酸素が嫌いっていったって息はするだろなんだよそれ」

「そう。今の質問は、ナンセンスだ」

清明ってなんだかわからない。
ナンセンス?
つまりその意味を問うことが?

立夏が空気と一緒?
立夏がいないと息ができない、ってこと?
それほどまでに清明には立夏が必要で、必然で、自然なことってことなの?

「嘘だ。清明は立夏より強いもん。僕と組めば、もっとだよ。立夏がいなくたって清明は誰にも負けない」

いまだって草灯を支配しているのは立夏じゃない。清明だ。
渚でも律先生でもなく
紛れもない所有物
草灯は使えるから生かしてる。

それだけだ

「たいした理由じゃないよ。君はオモチャに名前を書くタイプかな」

「よくわかんないけど」

「つまり強いて言うなら立夏は俺のものだから、かな」

「………ますますわかんない」

心を手に入れること。清明は得意だ。
なのに清明のことはわからない。
清明の心はどこにあるの
誰ならその心に触れれるの
怖い
立夏なら、立夏ならできるの?
立夏しかしらない清明がいるの?
目の前の清明は立夏のいう‘兄’の形をしているのだろうか

「…なんか考えがあるのか知らないけどお前も俺のものなんだよ。わかってる?」

長い指先で顎をとられる。顔が近づいて、目の前がチカチカした
瞳の視線がぶつかって、息を呑む。目をつぶるが、唇に生暖かい感触が落ちることなくそれは僕の鎖骨を噛みついた
――犬歯がいたい
なんて壊れたひと
怖い。
頭が痛くて 空気に酔いそう
秘められた、狂気に


「お前はとられちゃったら困るから消えないように名前を彫っておこうかな」




(あなたは、わたしの)



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