The ounder of rphan U 
 -総受男装ハーマイオニー百合夢-




ダンブルドアとハグリッドが城を去ってから、
城の外も中も、何もかもがめちゃくちゃになっていた。

知らぬ間に夏が城の周りに広がっていた。
空も湖も、抜けるような明るいブルーに変わり、
キャベツほどもある花々が、温室で咲き乱れていた。
しかし、ハグリッドがファングを従えて校庭を大股で歩きまわる姿が窓の外で見えないと、
ハリー達にとってはどこか気の抜けた風景に見えた。

城の中は、ダンブルドアがいなくなったことで一層恐怖感が蔓延っていった。
医務室もついに面会謝絶になり、毎日見舞いに来ていたサクヤも閉め出された。

「危ないことはもう一切できません」

マダム・ポンフリーは、医務室のドアの割れ目からサクヤたちに厳しく言った。

「せっかくだけど、ダメです。
患者の息の根を止めに、また襲ってくる可能性が十分あります…」

ハリー、ロン、サクヤの3人は、蜘蛛を探した。
…と言っても、城にはもう一匹も蜘蛛が残っていないようなのだ。
蜘蛛が苦手なロンにも頼んで探しているが、一向に見つからなかった。

それから2週間が経った。
薬草学の授業ではスプラウト先生はみんなに手作業をさせた。
アビシニア無花果の大木の剪定だ。
ハリーが萎えた茎を一抱えも切り取って、堆肥用に積み上げていると、
ちょうど向かい側にいたアーニー・マクミランと目があった。
アーニーはすーっと深く息を吸って、非常に丁寧に話しかけた。

「ハリー、僕は君を一度でも疑ったことを、申し訳なく思っています。
君はハーマイオニー・グレンジャーを決して襲ったりしない。
僕が今まで言ったことをお詫びします。
僕たちは今、みんなおんなじ運命にあるんだ。だから―」

アーニーは丸々太った手を差し出した。
ハリーは握手した。

アーニーとその友人のハンナが、ハリー達が剪定していた無花果を、一緒に刈り込むためにやってきた。

「あのドラコ・マルフォイは、いったいどういう感覚をしてるんだろ」

アーニーが刈った小枝を折りながら言った。

「こんな状況になってるのを大いに楽しんでるみたいじゃないか?
ねえ、僕、あいつがスリザリンの継承者じゃないかと思うんだ」

「まったく、いい勘してるよ。君は」

ロンは、ハリーほどたやすくアーニーを許してはいないようだった。

「ハリー、サクヤ、君たちは、
マルフォイだと思うかい?」

アーニーが聞いた。

「いや」

「まさか」

ハリーもサクヤもあんまりキッパリ言ったので、アーニーもハンナも目を見張った。
その直後、ハリーは大変なものを見つけて、思わず剪定バサミでロンの手をぶってしまった。


「アイタッ!何をするん…」

ハリーはサクヤの手を掴んで目配せした。
サクヤもロンも、ハリーの視線の先を見ると、地面を大きなクモが数匹ガサゴソ這っていた。

「あぁ、ウン」

ロンは嬉しそうな顔をしようとして、やはりできないようだった。

「でも、今追いかけるわけにはいかねぇよな…」

サクヤがこっそり言った。
アーニーもハンナも聞き耳を立てていた。
ハリーは逃げて行くクモをじっと見ていた。

「どうやら『禁じられた森』の方に向かってる…」

ロンはますます情けなさそうな顔をした。

クラスが終わると、スプラウト先生が「闇の魔術に対する防衛術」のクラスに生徒を引率した。
ハリー達はみんなから遅れて歩き、話を聞かれないようにした。

「もう一度『透明マント』を使わなくちゃ」

ハリーが二人に言った。

「ファングを連れて行こう。
いつもハグリッドと森に入っていたから、何か役に立つかもしれない」

「いいよ」

ロンは落ち着かない様子で、杖を指でくるくる回していた。

「えーと―ほら―あの森には狼男がいるんじゃなかったかな?」

ロックハートのクラスで、一番後ろのいつもの席につきながらロンが言った。
ハリーは、質問に直接答えるのを避けた。

「あそこにはいい生き物もいるよ。
ケンタウルスも大丈夫だし、一角獣も」

「オレ、『禁じられた森』に入ったことない!」

サクヤは心なし、興味津々に見えた。

「ぼ、僕だってないよ…。
できれば、一度も入らずに学校を卒業したいくらいなのに…」

ロンがげんなりして言った。
ハリーは1年生の時に罰則で一度だけ入ったが、できれば二度と入りたくないと思っていた。

「でも…、そんな事を言って森に入るのを躊躇っている場合じゃない…!」

サクヤは胸元をギュッと握りしめ、ハーマイオニーのネックレスを確かめた。

「今夜決行だ」





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